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外資系への道

外資系企業に家賃補助がなくても気にしなくていい理由を6つ挙げてみる。

家賃補助
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就活や転職活動をしたことがあるなら、外資系企業の福利厚生はあまりよくないということを聞いたことがあるかもしれません。

私は日系企業と外資系企業の両方で働いたことがありますが、これは事実です。

特に福利厚生の中でも気になるのは家賃補助をはじめとする住宅手当ですね。

本記事では外資系企業と日系企業の家賃補助の違いについてご説明します。

外資系企業では家賃補助がない企業が多いですが、就職・転職を判断する前に正しく比較することで意外なメリットも見えてきます。

家賃補助がなくても気にしなくていい理由も紹介いたしますので、外資系企業への就職・転職にぜひ参考にしてみてください。

本記事はこんな人にオススメ
  • 外資系企業への転職を検討中・内定をもらっている
  • 現在、持ち家がない(賃貸)
  • 日系企業との家賃補助の違いを知りたい
  • 福利厚生の少なさに不安を感じている

結論、家賃補助や給与の上昇分をトータルで考えることが大切です。

外資系企業は家賃補助がない分、給料が高く設定されている傾向があります。

この記事を書いている私は

  • 日系大手食品メーカーから外資系企業に転職
  • 外資系食品メーカーに6年半勤務
  • 外資系企業に入社3年目で年収270万円アップ

家賃補助は福利厚生の一つ

家賃補助は企業の福利厚生である住宅手当の一つで、従業員の住宅費を補助するために支給される手当です。

一般的にある一定額の家賃に対して一部または全額を負担するという形で支給されます。

家賃補助以外にも住宅手当としては持ち家を持つ人に支給される「持ち家手当」もあります。

社宅のある企業や一般の賃貸住宅を会社が借り上げて従業員に割安で賃貸する「借り上げ社宅」制度がある企業もあります。

住宅手当の支給割合と支給額

では日本にある企業(外資系含む)の住宅手当を支給されている人の割合はどれくらいでしょうか。

厚生労働省によると令和2年時点で約47%の企業が支給しているようです。

以下の表を見ていただくと分かりますが、企業規模が大きいほど支給している企業の割合が多く、支給額も大きくなる傾向です。

企業規模・年住宅手当支給企業割合住宅手当平均支給額(円/月)
令和2年調査計47.2%17,800
 1,000人以上61.7%21,300
 300~999人60.9%17,000
 100~299人54.1%16,400
 30 ~ 99人43.0%14,200

(出典)厚生労働省HP:『令和2年就労条件総合調査 結果の概況』(諸手当の支給された労働者1人平均支給額より)

日系企業の住宅手当

福利厚生

日本において住宅手当は第二次大戦後の住宅難や高度成長期の住宅高騰を受けて導入されました。

古くから存在し、体力のある大手企業ほど導入しているケースが目立ちます。

企業イメージもよくなり、就活をしている学生や転職を考えている人には魅力的な制度です。

家賃補助が出ている間は社員のモチベーションも上がり、離職率を下げる効果もあります。

ある程度の従業員数が多い企業であれば社宅や借り上げ社宅制度も利用できる場合が多いです。

私は2つの日系企業(以下A社、C社)で働いた経験がありますが(1社は現職)、どちらも住宅手当は手厚かったです。

事例1)新卒で入社した日系企業の家賃補助制度

新卒で入ったA社では独身の間(7年間上限)は独身寮もしくは単身者用賃貸の借り上げ社宅に住む権利がありました。

私は独身寮に住んでいましたが、相場6~7万円はするワンルームマンションに1万円くらいで住むことができました。

職場に近いところに独身寮がない場合は、会社が一般賃貸物件を借り上げて社員に割安で貸す「借り上げ社宅」になります。

上限が9万円ですが25%程度の自己負担で、こちらも7年間までは補助が出ていました。

社宅に比べると割高ではありますが、会社の人がいないのでとても気楽です。

なんと結婚するとこの7年という時限はリセットされました。

世帯に対する家賃補助は上限が10万円に拡大されますが、補助割合は50%です。

上限をはみ出た分は自腹で10万5千円の家賃であれば、10万円の半分5万円と上限をこえた5千円の計55,000円が自己負担となります。

事例2)現職の日系企業の家賃補助制度

現職のC社も入社時は独身寮と社宅があります。

独身寮はA社と同様8年の時限付きですが1万円程度で済むことができます。

こちらも結婚すると一旦リセットされて8年間家賃補助ができます。

A社よりも恵まれていて上限は一気に17万円で自己負担額は25%です。

ただ選べる住宅は会社が契約している不動産屋が扱っている物件のみですので、選択肢は少ないという難点はあります。

それを含めても相当恵まれている条件です。

異動により家賃補助期間がリセット

A社、C社に共通している点があり、大きなポイントとなるのが「転居を伴う異動」があった場合は、家賃補助期間がリセットされます。

仮にC社で7年半家賃補助をもらっていて他府県や海外に異動した場合、国内であれば8年間の家賃補助が出ますし、海外への異動であれば赴任期間は自己負担ゼロです。

また戻ってきたら8年間の時限にリセットされるので、人によってはずっと家賃補助がでる状況となります。

外資系企業の住宅手当事情

A社とC社の間に外資系企業B社に6年半いましたが、その間は家賃補助がゼロになりました。

多くの外資系企業には家賃補助を含む住宅手当はありません。

日系企業のような戦後の住宅難や高度経済成長期の住居費高騰という背景もないのでそもそも家賃補助という概念がありません。

外資系企業の子会社は規模の小さい企業がほとんどなので、社宅のような固定資産をもつことはリスクです。

結果、住宅手当のようなものは存在しない企業がほとんどです。

ただし例外として海外赴任時の家賃全額や会社事由で本社勤務で採用されたのに工場配属となった場合の住居費75%は会社負担でした。

家賃補助がなくてもいい理由

日系企業A社、C社のような条件を聞くと外資系企業は福利厚生が悪いように思うかもしれません。

でも冷静に考えてみると悪い面ばかりではありません。

その理由を一つずつ説明いたします。

①家賃補助がない分給料が高い

最大の理由は「外資系企業は福利厚生が少ない分、給料が高い」ためです。

外資系企業にはムダなリスクは背負うような資産や制度はありません。

いつか撤退する可能性を踏まえてできるだけ身軽でいる必要があります。

福利厚生が物足りない分、外資系企業は優秀な人材を採用するために給料を高くしているとも言えます。

私自身、日系企業A社から外資系企業B社に転職するとき家賃補助がない点はひっかかりました。

そこでA社の家賃補助分を年収に換算して考えてみることにしました。

A社の当時の年収は額面で450万円、結婚して家賃10万円のところに住んでいたので5万円の家賃補助×12か月で年間では60万円でした。

この60万円をベースに所得税と住民税合わせてざっくり20%とすると額面換算72万円くらいです。

よって実質522万円(450+72万円)の年収と考えることができます。

一方、B社には家賃補助制度がありませんでしたが転職時に提示された年俸は額面で680万円です。

このように冷静に考えてみると家賃補助がなくても、トータルでどうかと考えると正しい判断ができます。

しかも外資系企業B社のケースは期限なく高い給料が維持される一方、A社は7年経てば家賃補助がなくなり実質の年収はガクっと落ちてしまいます。

②住宅の選択肢が広がる

独身寮や社宅は極めて自己負担が少ない点がメリットです。

でもプライベートという観点からすると、普段から会社の人が周りにいるので落ち着かないのはデメリット。

こういった社宅はヘンピなところにあることが多いので、必ずしも会社へのアクセスが良い、住環境が良いとは限りません。

外資系企業は年収に家賃補助分が含まれていると考えれば、上乗せされた給与分だけ住む場所や物件を選ぶ選択肢が増えたと考えられます。

プライベートが守られ、会社にアクセスも良く、住環境も最高な住居を見つけられたら、金額以上に生活の満足度は高まりますよね。

③家賃にシビアになる

日系企業A社にいるときは家賃に対してそこまでシビアに考えていませんでしたが、B社に転職してからは家賃にシビアになりました。

賃貸であれば2年に一度更新が発生しますが、会社の補助を受けているとき更新料負担は会社で更新手続きも会社がやってくれました。

でも全額自腹になってからは更新手続きも自分です。

ここは絶好の家賃交渉のチャンスです。

オーナーや仲介業者さんと交渉して家賃を下げてもらう交渉をして、実際下げてもらうことができました。

また退去するときも敷金が想定よりも多く引かれていたことがあり、これも交渉で多く返してもらうことができました。

このように家賃に対してもシビアになり、不動産の知識と交渉力が身につきました。

④持ち家の場合、公平感がある

A社もC社も賃貸に対しては補助がありますが、共通して持ち家には補助がでません。

家賃補助のコンセプトは会社の補助で住宅を購入する準備をするというものです。

そのため住宅を一旦手に入れてしまうと補助が全くでません。

入社して早い段階で家を購入した人とずっと賃貸の人では、実質会社から支払われるお金に違いが生じます。

これが不公平感を生み出します。

その点外資系企業は給料のみとシンプルなので、このような不公平感は生まれません。

⑤転居を伴う異動が少ない

社宅があるような日系企業は日本全国、海外にも拠点があることが多いです。

そのため転居を伴う異動は当たり前のようにあります。

この時支払われる家賃補助はある意味「迷惑料」に近いかもしれません。

転居すると一番困るのは家族です。

特に小学生以上のある程度大きなお子さんがいる場合は、慣れ親しんだコミュニティから離れる必要があります。

私自身、転居によって子供たちに寂しい思いをさせてしまったことがあり、これはお金には代えられないことだなと思いましたし、今後もなるべく転居が発生しないようにしたいと考えています。

外資系企業は超大手以外は拠点は少なく、ポジションで働く場所が決まるので原則入社してからの異動はありません。

そのため計画的に持ち家を購入したり、資産形成ができる点はメリットだと思います。

⑥日本企業の住宅手当も減少傾向

日系企業A社やC社のような会社でも住宅手当の条件をどんどん改悪しています。

C社も今は時限が8年ですが、数年前までは12年でした。

社宅も全社的に撤廃という判断がなされました。

会社はなるべく身軽になって投資効率を上げることを株主から求められています。

また賃金カットは難しいですが、福利厚生のカットは比較的簡単に行える点も注意が必要です。

このように先の読めない制度に依存するよりは、確実に給料に反映されている外資系企業の給与体系のほうが安定していると言えます。

まとめ

一見、家賃補助があると魅力的に見えますが家賃補助も給与の一部に他なりません。

すでに持ち家がある場合は受給資格がない可能性があるので注意が必要です。

外資系企業は余計な固定資産や制度がない分、給与に反映されている側面が強いのでトータルの額面給与がどうなるか、いつまでその状態が続くのかという視点で比較しましょう。

自由度が高い現金という形で支給されていると捉えればメリットと思える点もたくさんあるので、家賃補助がないからといって選択肢から外す前に冷静に考えてみることをオススメします。

外資系企業の給与制度については以下の記事も参考になります。

給料については >>>外資系企業マネージャーの年収はどう決まる?【実際の明細を大公開】

ボーナスについては >>>外資系企業にボーナスはある?いつもらえる?日系企業との違いも解説

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!