英語ができないけど外資系企業に転職できる?
必要な英語力はどれくらい?
英語も話せないのに外資系に転職できたとしても苦労しないだろうか…
本記事はあなたのこんな疑問や悩みにお答えします。
ネットで調べると「英語ができなくても大丈夫」とか「英語ができないと地獄」という意見がたくさんでてきて、何が正しいのかわからない。
そんなことありませんか?
結論、業界・職種選びに気を付ければ、英語ができなくても外資系企業に転職することは可能です。
本記事では外資系企業で働いた私の経験を踏まえて
「外資系企業で働くのに求められる英語力」についてお伝えします。
一口に外資系といっても業界・職種・職位が変わると求められる英語力が変わります。
だからこそネットには様々な意見が飛び交ってしまうということです。
英語を話せなくても外資系企業に転職して働くことはできることは事実。
私の周りには英語ができなくても普通に働いている人はたくさんいました。
実は私もその一人だったのです。
英語が話せない人が外資系企業に入った後、どうなるかも実例を踏まえて解説します。
- 英語ができないけど大丈夫?外資系企業に入るには業界・職種選びが大事
- 外資系企業で求められる英語力【職種・職位で違う】
- 英語ができないのに外資系企業に入った人のキャリアパス
本記事の筆者は
- 外資系食品メーカーに営業職として6年半働いていた経験
- 海外留学、海外駐在、海外生活ゼロでも日系大手の海外部門で勤務
- 外資系企業に勤める知人多数
英語ができないけど大丈夫?外資系企業に入るには業界・職種選びが大事
「英語はビジネスレベル」これが外資系企業の採用要件である。
そう信じている人は少なくありません。
でもこれは必ずしも正しくありません。英語ができなくても大丈夫。外資系企業に入社することは可能です。
先ほどお伝えしたように外資系企業で求められる英語力は業界・職種・職位によって大きく変わるからです。業界・職種選びがポイントです。
例えば、外資系金融・コンサルやIT企業で求められる英語力は極めて高いです。
帰国子女で海外生活していたり長い海外駐在経験があり、英語を話すことに負担感がない人たちがたくさんいます。
こういった業界が外資系企業としてイメージされやすく「外資系企業=ビジネスレベルの英語力が必須」と考える人が多いのです。
一方で外資系メーカーはそれほど高い英語力は求められません。
特に営業職や事務職は仕事をする相手が日本人のみということも多く、英語を話す機会も多くありません。
つまり業界・職種・職位を選べば英語を話せなくても外資系企業に転職することはできます。
今回は私が実際に経験した外資系メーカー(食品業界)の内容です。
医薬品、化学品、機械メーカーも同じ傾向なので参考にしてみてください。
外資系企業で求められる英語力【職種・職位で違う】
業界だけではなく職種や職位でも求められる英語力は変わります。
もっと簡単に言うと「役割」によって求められる英語力が変わります。
外資系企業の日本法人の役割って何でしょうか?
そう、日本というマーケットで海外の製品やサービスを売ることですよね。
日本のお客さんは基本日本語しか話さないので、お客さんとやり取りする役割の営業は英語ができなくても仕事はできます。
一方、社長・部長・マーケティング担当は海外の同じ職位の人と日々会話しないといけません。
これらの役割の人たちはある程度の英語ができないといけません。
完全に個人的な尺度ですが、職種・職位別に求められる英語力と役割をまとめます。
興味がある職種・職位でどれくらい英語力が求められるか参考にしてみてください。
求められる英語力が低い順に紹介します。
①外資系メーカーの工場勤務者(非管理職)-英語ができなくてもOK
求められる英語力:☆☆☆☆☆
外資系メーカーの場合、日本に工場がある場合があります(海外に工場があり輸入販売とのみというパターンもあり)。
工場で働く人の役割は製品を製造することです。
工場にいる人は基本日本人のみなので、日本の工場で働く場合とそれほど変わりません。
メリットとして本社の高い給与水準に引っ張られて、日系企業の工場よりもやや給料が高い傾向があります。
求人数は少ないので、もし自宅から通える案件があればラッキーです。
応募を検討してみましょう。
②外資系メーカーの事務職-英語ができなくてもOK
求められる英語力:★☆☆☆☆
事務職に含まれるのは営業事務、工場の事務、経理、総務の仕事。
国内営業の支援や会社の事務作業が主な役割のため、仕事上でコミュニケーションする相手は日本人のみです。英語が話せなくても大丈夫です。
社内システムの言語が英語だったり、たまに海外からの問い合わせや連絡が英語だったりします。
そのため英語アレルギーがある人はやめておいたほうがいいですが、高度な英語力は求められません。
英語に困ったら英語を話せる人に代わりに電話に出てもらったり、メールの例文を書いてもらって対応することは可能です。
私もよく営業事務の人が海外からの電話を受けた時に、回されて対応していました。
外資系企業の事務職に興味があるなら以下の記事も参考になります。
>>>高収入な外資系企業でのんびり働く方法あります【仕事選びが大切】
③外資系メーカーの営業(非管理職)-英語ができなくてもOK
求められる英語力:★★☆☆☆
営業職の役割は日本の顧客に製品やサービスを売るのが仕事です。
お客さんは日本人なので英語ができなくても、売上さえ上げれば問題ありません。
たまに海外スタッフが日本にプレゼンにくることがあり、そのお世話係をする必要があります。英語であいさつや自己紹介くらいはできたほうがベター。
プレゼンのときお客さんが英語ができないケースが大半です。もしあなたは英語ができなくても英語ができる上司やマーケティング担当を引っ張り出せば大丈夫です。
でも自分で通訳できるとお客さんからの信頼度は急上昇するので、英語ができないよりはできたほうが圧倒的にいいことは間違いありません。
お客さんから海外出張のときに、研究所や工場を訪問したいというありがたい依頼を受けることがあります。英語ができると同行することもでき、海外出張できるだけでなくお客さんとの関係性も非常に良くなります。
実際、私もお客さんと何度も海外出張させていただき、新たなビジネスにつながったケースも多いです。
ただ出世して営業部長になるには英語力は必須です。
「ずっと営業の前線で戦うんだ!」ということであれば英語はできなくても、売上さえ上げておけば大丈夫です。
でも海外出張するチャンスが増えたり、昇進にも有利に働くので入ってからでもいいので英語の勉強はした方が良いでしょう。
外資系企業の営業職に興味があるなら以下の記事も参考になります。
>>>未経験で外資系企業の営業に転職はできる?【適性は事前に確認しよう】
④外資系メーカーの技術職(非管理職)-英語ができなくてもOK
求められる英語力:★★☆☆☆
技術職は自社製品の研究開発したり、自社素材の機能や特徴をお客様に分かるように試作品にすることが仕事です。特には営業と一緒にお客さんのところに出向いて説明をしたりします。
外資系企業とはいえ社内はほとんど日本人、お客さんも日本人。そのため英語ができなくても大丈夫です。
ただ海外から技術者がきてワークショップをしたりすることがあります。そのときに自分が担当している領域について説明できる英語力や専門用語を英語で知っておく必要があります。
とはいえ社内なので英語が下手でも大丈夫です。
技術者同士は前提の知識があるので、英語が下手でもある程度は通じるものです。
専門的な知識さえあれば、英語ができなくてもそこまで心配は不要です。
ただし英語力がないよりもあったほうがベターです。
出世して管理職になるには英語は必須。入社してから英語を勉強するほうが良いでしょう。
⑤外資系メーカーの品証担当(非管理職)-英語ができなくてもOK
求められる英語力:★★☆☆☆
外資系メーカーであれば品質保証部門(品証部)があり、品証担当者がいます。
主な仕事は製品の規格書や顧客から求められるステートメント等の書類を作成することです。
工場には品質管理担当(QC:Quality Control)がいて、本社には品質保証担当(QA:Quality Assuarance)がいます。
QA担当は工場のQC担当と連携して品質トラブルが起こらないように対策を考えます。トラブルが起きた場合は再発防止策を検討し顧客に原因・対応策を説明する文書を作成します。
仕事上のコミュニケーションの相手は社内やお客さんでいずれも日本人なので英語ができなくても大丈夫です。
ただ年に何度か品証担当者同士の会議があったり、社内品証システムの言語が英語だったりするため英語力は多少必要です。
英語が話せなくても品証部長は英語が話せるはずなので、一緒に出てもらうなどの対応をとれば大丈夫です。
⑥外資系メーカーの管理職(部長級)-ある程度英語ができないといけない
求められる英語力:★★★☆☆
「なんだ、外資系企業といっても英語はあまり使わないのか」と思ったあなた。
部長級の人たちはある程度英語を話せる必要があるので注意してください。
営業部長、研究部長、品証部長、財務部長等、これら部長級の人たちは本社や地域本部とやり取りをしています。
実務レベルで横の連携をする役割があるからです。
公用語は英語です。
英語を話せないと文字通り話になりません。帰国子女のように流暢に話せる必要はないですが、相手の話すことを理解して、自分の意見を言う。そんな当たり前のことができないと仕事になりません。
英語ができないといって営業の能力は高いのに営業部長になることを拒否し続けた人、研究部長になりたいけど英語を話せなくて出世できない技術チームリーダー。
英語は外資系企業で出世する上で一つの壁となります。
英語ができないのに間違って部長級のポストに採用されてしまうと大変な思いをするので注意です。
外資系企業の部長職に興味があるなら、以下の記事も参考になります。
>>>外資系企業の部長の年収はどれくらい?部長になる方法や必要なスキルも解説。
⑦外資系メーカーの社長-英語ができないと困難
求められる英語力:★★★★☆
外資系企業の社長。会社の規模が数人レベルだとカントリーマネージャーと呼ばれることもあります。
社長も部長と同様に階層は異なるものの本国や地域本部との連携が役割のため、英語を話せることが必要です。
そこまで流暢である必要はないですが、相手が話した内容を理解し、かつ日本法人の立場を考えながら意見をはっきり言う高度な能力が必要となります。
普段はオフィスをふらふら歩きまわっているように見えて、ここぞというときは法人代表とした海外と相対していました。
まず英語力以外の資質や業界コネクションがないと社長になることはできません。英語を話すことは最低限の要件です。
⑧外資系メーカーのマーケティング担当-高度な英語力が必須
求められる英語力:★★★★★
外資系企業メーカーのマーケティング担当者は最も英語を話す力が必要となるポジションです。
海外のマーケティング担当と日々トレンドを互いに共有しながら、社長や営業・技術部長とともに戦略を練り陣頭指揮する必要があるからです。
外資系メーカー在職時、マーケティング担当者はひんぱんに変わりましたがいずれも英語が得意な人が多かったです。
私の妻も外資系企業で事務職をやっています。マーケティング部門のみが日本に存在しており、社員のほとんどはマーケッティング担当者。いずれも流暢な英語で海外とやり取りをしているそうです。
「英語が話せないとやっぱり外資系メーカーでマーケティングはできないのかぁ」とがっかり…
実はできなくもありませんよ。
マーケティング担当は2つのパターンに分かれます。一つは「マーケットトレンドに強い」タイプ、もう一つは「技術トレンドに強い」タイプです。
前者の「マーケットトレンドに強いタイプ」は流暢な英語を使って劇場型のプレゼンをします。華のある人が多いのもこのタイプ。英語を話す力が極めて高い人が多いです。
後者の「技術トレンドに強い」タイプはそこまで英語は流暢でなくても大丈夫です。ただ自社の技術や他社の技術トレンドを理解して強みをアピールできる能力が極めて高いです。
要は自社の製品やサービスをしっかりアピールすることができればよいのです。
でも英語を話すことができることが強みになるポジションであることは間違いありません。
英語を話せないのに外資系企業に入った人のキャリアパス
このように業界だけでなく、職種・職位によっても求められる英語力に大きな差があります。
だからこそ外資系企業には「英語ができなくても入れる」「英語ができないと地獄」と異なる意見がネット上に飛び交う訳です。
「英語ができないのに外資系企業に入ったらどうなるの?」
この疑問に対する答えは「職種・職位による」となります。
英語ができなくても働くことは可能ですが、出世を諦めたり、やりたい職種を選べないということはあり得ます。
英語ができなくても外資系企業を泳いで行けるキャリアパスを紹介します。
①生涯営業プロフェッショナルコース
人によっては「営業が天職」という人もいるでしょう。外資系企業は定年まで営業の最前線で活躍することが許されます(もちろん英語ができなくても大丈夫)。
なぜなら外資系企業は原則職種で採用するからです。
「営業職で入社したらずっと営業職」、「技術職で入ったらずっと技術職」。
営業職で入社して異動で総務部や人事部に異動ということはありません。
出世するためには部長になる必要があります。でも部長になるためにはある程度英語を話せないといけません。
ではどうやって給料を上げていけばよいでしょうか?
転職して同業他社の営業になることです。営業の中でもジュニアやシニアがあるので部長にならなくても職位を上げることは可能です。
プロ野球選手と同じで売上を上げられるのであれば、部長に匹敵する給料をもらうことも可能。
外資系企業でシニアポジションであれば、年収1,000万円を超えることはそれほど難しくはありません。
②職人的技術者コース
日系企業で技術開発をしていた人が知識や経験を見込まれて外資系企業に来るケースは極めて多いです。むしろそのパターンしかありません。
英語が話せない人が多いのも技術職の特徴です。
英語を勉強して部長にステップアップする人がいる一方で、英語を話すことはあきらめて技術を磨いていく人も多くいます。
技術に関する知識や経験が豊富な人は英語ができなくても大事にされます。
外資系企業は少数精鋭なので幅広い業務を任されるため、技術のプロフェッショナルになることができます。
部長になることを選ばず、課長やチームリーダーくらいまでで出世は打ち止めという人も多いのがこの職種。
腕があれば転職してより待遇が良い会社に転職する人も多いです。
③のんびり事務職コース
外資系企業の事務職は営業事務、経理、総務等があります。
のんびり、まったり、ゆるーく働きたい。でも給料はそこそこほしい。
そんなあなたにはこの「のんびり事務職コース」がオススメです。
女性が多いですが男性もこのコースを選ぶことはできます。
英語が話せなくたって大丈夫。得意な人に頼めば助けてくれます。
外資系企業の高い給料水準に引っ張られて、日系企業の同じポジションの人と比べる給料も悪くない。
定時で帰ることも可能で休みも取りやすい。しかも目標が定性目標のため普通に仕事をしていたら飛び抜けて良い評価をされることはないけど悪い評価もされない。
よって長く働くことが可能。
定年まで働き続ける人が多いのもこのコースです。
個人的には最強ではないかと思っています。
④日系企業回帰コース
「どうしても英語が嫌だ」「外資系企業の雰囲気は自分に合っていない」という場合、日系企業に戻る人もチラホラいます。
それも全然アリです。私自身、外資系企業から日系企業に転職しました。
外資系企業で働いていると、常に転職エージェントやヘッドハンターからお声がかかるので比較的転職するチャンスは多いです。
場合によっては外資系企業より良い条件を出してくれる日系企業もあります。私もこのパターンで転職する判断をしました。
一度外資系企業を経験してから日系企業に戻ると外資系企業と日系企業のそれぞれのいいところと悪いところが見えてきます。
良いところだけを取り込んで満足度のキャリアパスを描くことも可能です。
「外資系企業からやってきた=英語ができる人」と思われがちなので、そこだけ注意です。
英語が苦手だったら国内担当の部門に応募しましょう。
外資系企業に入社した人の末路が気になる人は以下の記事も参考になります。
>>>外資系企業に就職した人の「末路」や「その後」をまとめてみる。【実録】
実際のところはケースバイケース
これまでお伝えしたことは、あくまで私が経験したことや知人から聞いた情報をもとにまとめた内容です。
企業が変われば、人事体制も違います。
あなたが希望する企業のなりたいポジションに求められる英語レベルは、調べてみないと分かりません。
「調べ方が分からない…」
とすぐに行き詰まり、結局転職しようという気持ちが萎えてしまう…
そんなときは転職エージェントを通じて確認するのも一つの手です。
彼らは企業のことを熟知しているので、どの程度の英語力が求められるかは間違いなく分かっています。
「転職エージェントって何?」
そんなあなたはまず以下の記事を読んでみてください。
>>>転職エージェントのことを簡単に解説【外資系企業への転職には必須】
最後に
本記事の内容はネットにあふれる「外資系企業は英語ができなくても入れる」「外資系企業は英語ができないと地獄」論争の一つの解ではないかと勝手に思っています。笑
当たり前ですが外資系企業にいて英語ができたら出世しやすいのは事実。
英語を学ぶことで年収を増やすチャンスも多いです。
もしすでに英語が得意であれば、それは大きなアドバンテージです。
私は帰国子女でもなく、海外留学も海外在住経験もありません。
それでも外資系企業で働き、今も日系企業の海外部門で働いています。
英語は完全に日本国内で勉強してきました。
「こんなキャリアパスもあります」ということをこのブログを通じてお伝えできればと考えています。
ぜひ英語を学び直すサラリーマン(えいごりまん)になりましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!